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ディラン好きの日記

転がる石のように

理学療法士の競合他社は?(介護保険領域 編)

 

 

前回は、介護保険サービスにおいて理学療法士が提供する価値について書いてみました。

今日はその続きです。

 

 

「対面して話す」という価値

 老人保健施設、デイサービス、訪問リハビリ、それぞれの提供価値を見てきましたが、介護保険領域に共通する提供価値には、対面して話すという価値が根底にあります。

訪問させて頂く家庭の中には、行くと必ずお茶を入れて下さる家があります。そして多くの場合、利用者はその時間を楽しみにしています。

一人暮らしの高齢者にとっては、人と話す機会は貴重なものです。家族がいても、仕事をしていればそのような時間を作るのは大変です。夫婦で生活をしている場合も、高齢になると夫婦同士ではあまりしゃべらない家庭も多いようです。そればかりか、お茶をする時間に聞こえるのは夫か子供の愚痴であることも多く、その反対に、介護に疲れている家族からの愚痴もよく耳にします。それぞれの愚痴には切羽詰まるものを感じることもあり、いつかどちらかが爆発してしまうのではないか、と危機感を持つこともあります。

このように第三者であることが、かえって愚痴をこぼしやすい状況を作ることもあり、在宅生活において、対面して話を聞く存在が大きなセーフティネットとなっているのです。

 

 

セーフティネットの市場化

地域医療、高齢者福祉を支えるとき、日常生活動作の予後予測能力と自立支援に基づく役割の創造は、理学療法士の大きな付加価値として存在し続けるでしょう。そこに医療職であること加わり、介護保険サービスの中で理学療法士が選ばれている理由となっています。

 しかし、今のような立場が今後も続くのかというと、私は必ずしもそう言い切れないな、と思います。

例えば、最近ちきりんさんが通話による見守りサービスをブログで紹介していますが、話し相手を雇う時代へ - Chikirinの日記

これも一人暮らしの高齢者のセーフティネットとして十分に機能しそうです。

現状では、やはり対面するコミュニケーションに優位性はあるかもしれませんが、例えば介護保険認定で低い介護度がついた場合(要支援ⅠやⅡ)、利用できるサービスの量は減ります。そこで、施設サービスは介護者にとってもメリットが大きいから必ず入れたいけど、訪問リハビリは民間の通話サービスで代用して健康状態や安全を確認してもらおうかしら。と考える娘がいてもおかしくありません。

より介護度が高くなった場合、訪問サービスの中でも選ばれるものに優先順位が生まれます。

優先順位の高いものは、訪問介護でしょう。老老介護家庭では特に自宅で風呂に入れたり、食事を用意したり、着替えを手伝ってもらうのは必須条件です。お手伝いとしての介護は、1番ニーズが高いと思います。その次は訪問看護になるでしょう。介護度が上がると、医療的な処置が必要な場合が多くなり、認知症の場合、服薬管理は必須となります。その他にも、訪問診療や栄養指導、口腔衛生などそれぞれの訪問サービスは定期的に健康状態を確認してもらえるセーフティネットです。その上で各種付加価値を持っています。訪問リハビリにおける付加価値は先に挙げましたが、その付加価値が利用者に認識されなかったら、、健康状態を確認してくれるという価値だけが残ってしまうのです。

その価値は、通話サービスでも代替できるのでしょうか?

 

ちなみにこの通話サービスは1回10分 /週2回で月8000円程度とのことなので、1回あたり1000円程度のサービス。介護保険による訪問リハビリは1回20分で300円程度。基本的に2単位行うので600円程度となります(介護保険により利用者の自己負担は1割なのでこの値段)。

自己負担額も現状では訪問リハビリの方が安いですが、それは今後も現状の介護保険制度が維持されればの話です。

 

私は理学療法士が持つ付加価値を重要だと考えています。

仮に日常生活動作の予後予測がなければ、家に帰れる能力がある人でも施設に入れられてしまったり、逆に必要な環境調整をしないまま家に帰してしまって、自宅で転んでしまったということが起こりえます。家でも、近くのスーパーまで買い物にいく能力があるのに、危ないという理由でその活動を制限されてしまう、ということもあります。

生活の場を決定する点で、利用者がどーゆう環境でなら生活できるのか、判断できることはとても重要なのです。

私が言いたいのは、制度の下に守られていても、価値をしっかり示さないと、市場から直接ニーズを汲み取り発展した民間企業サービスにより淘汰されてしまうかもしれない。ということです。これはそのことを忘れないための自戒として書いています。

 

今後、高齢者を対象にした地域ケアにおいて、民間企業の参入はさらに増えていくでしょう。警備保障を行ってきたSECOMもホームセキュリティとして緊急時にボタン一つで救急車が来て、遠くに住む子供にも連絡が入るシステムをすでに運用しています。コンビニのローソンも、その地域性を活かしてケアマネージャーを常駐させた居宅介護支援事業所を併設させた店舗をオープンさせたり

「介護ローソン1号店」を見学してきた:健康:日経デジタルヘルス

今後は服薬管理ロボットが開発され、数日間薬を飲んだ形跡がなければ、事業所や家族に連絡が行く、といった安否確認の形態も進んでいくことでしょう。このような流れは止まらないと思います。

 

高齢者市場は介護保険サービスと民間サービス、どちらを選ぶようになるのでしょうか。ほんとうに、目が離せません。