入院してみてわかったこと
以前、入社ストレスで入院してしまった失敗談を書きました。
が、入院したことによって学んだことも多かったのでまとめておきます。
①一度は看護師に恋心を抱いてしまう
よく入院患者と看護師の恋、がもてはやされたりしますが、私は自分が入院するまで、「そんなことは断じて無いだろう」と思っていました。
入院当初、緊張もあって、私はたぶんゴルゴみたいな顔をしてたと思います。
「血圧を測らせて下さい」
そう言われても
「引き受けよう」
とだけ答えていました。
しかし段々顔を合わせる頻度が増え、くだけた会話もするようになると、
私はお気に入りの看護師に会うのが待ち遠しくなっていました。
そのときの顔がこれです。
もうデレっデレです
考えてみれば、入院生活はヒマです。
テレビや本で時間をつぶそうにも、体力がなくてすぐ疲れてしまいます。
部屋は無機質だし、同室の患者は見渡す限りおじいちゃんです。
そのような環境で、やさしい看護師さんは、患者にとっては文字通り”華”なのです。
自分が弱っている時に、優しい言葉をかけてくれる人に、人は好意的な感情を持ちやすいですが、まさにこれは「別れ話の相談に乗ってくれた異性を好きになる」現象と同じではないでしょうか。
通常は、元気になって元の生活に戻ることで、このような感情はなくなります。
マンガやドラマで描かれるような、”看護師と患者の恋”は実際にあるのでしょうか…。
私はまだ聞いたことがありません。
②病院はそもそも居心地の良いところではない
たまに病院をホテルのような場所、と勘違いしている人がいますが、そーゆう人は入院するとしっぺ返しに遭います。
さっき入院生活はヒマと言いましたが、それは精神生活上の話です。
実際には病棟業務はかなり細かくスケジュールが決まっていて、寝ていても検査やら処置やらで起こされることもしょっちゅう、、物理的にかなり忙しいのです。
また、病室はプライベートな空間をつくるのが難しい場所です。
たいていは4人〜6人の共同部屋で、プライベートを守るのはカーテン1つです。
となりのじいさんの屁の音とかフツーに聞こえます。慣れてくると風流だな〜と思えてきます。
辛いのは夜です。
中でもいびきは、患者が昨日の夜眠れなかった理由ランキング1位、2位を争うものでしょう。同室者はいびきのうるさいあの人よりも我先に寝ようとしますが、そのプレッシャーで逆に眠れなかったりします。いびきなんて注意できませんから、皆さん泣き寝入りしているのです。
そしてたまに聞くのが、同室者の徘徊です。
真夜中にふと目を開けたら、枕元に隣の人が立っていたなんて恐ろしいですが、たまに聞きます。徘徊している本人は寝ぼけていたりして、覚えていないことも多いので、気づいたらすぐ看護師に相談しましょう。
個室に入ればいいじゃないか
と言う人もいるかもしれませんが、個室の料金ってそこそこのホテルの値段より高かったりします。私も値段を聞いてびっくりしました。
それに、個室でも医療従事者がしょっちゅう出入りしてきます。ノックもせずズカズカ入ってくる医療従事者がたまに居ますが、その時は気を使わず注意した方がいいです。
私もベッドの上に四つ這いになって、肛門の下あたりの、よくわからない場所に軟膏を塗っているときに、看護師がカーテンを開けた時は、さすがに実家に帰りたいと思いました。
帰らせてくれませんでしたが…。
③ベッドの上にいると、なにもしたくなくなる
ベッドは寝るためのものだからか、ベッドの上に居させられると、寝る以外には何もする気が起きません。寝ても寝ても眠くなります。
病気なんだから寝ててもいいじゃないか、と思うかもしれませんが
入院生活はそうもいきません。トイレに行ったりお風呂に入りに行ったり、少しずつ生活を取り戻さなければなりません。
私のようなリハビリ専門職は、こーゆう患者さんをベッドから起こそうと努力しますが、私たちが覚えておかなければならないのは、ベッドに寝たままだと、ベッド以外ですることもやりたくなくなる、ということです。例えば「食欲が出ない」「便が出ない」ということが、こういうことと無関係とは言えないのです。
④なにをやっても、すぐ疲れてしまう
病気なんだから当たり前かもしれませんが、テレビを見てるだけで疲れました。
外部からの刺激に対して普段より弱くなるのか、活字に疲れ、映像に疲れます。私は入院中の時間を有効に使おうと、本を持ってきてもらいましたが、全然読み進められませんでした。考えることにも普段より労力を要すのかもしれません。
私たちはリハビリをする時によく、「そーゆう気分じゃない」「今日は行きたくない」と渋る患者を、「やる気がない」と言ってしまいがちですが、このようなことは前提として頭に入れておいた方が良い関わりが出来るのかもしれません。
⑤医療者の患者に対するタメ口、幼児言葉は気持ちのよいものではない
これは加減が難しいというか…私たち医療従事者は患者とのラポール(信頼関係)をつくる時に、あえてタメ口にしたり、患者を名字ではなく名前で呼ぶことがありますが、
けっこう、行き過ぎているな、と感じることも多いです。
これ、大事なのは受け手がどう感じるかってことなんですが、
受け手は話しかけている患者だけじゃないです。
その会話を聞いている周りの患者もそうだし、見舞いにきた患者の家族も受け手です。
患者本人とは信頼関係が築けてフランクに話していても、家族はそんな過程は知りません。見舞いに行って、急に自分の父親が若い看護師にタメ口で話しかけられていたら、ちょっと違和感を感じませんか?
あんまり物を言わない患者に和気あいあいと幼児言葉で話しかけていることを、本人だけじゃなく、周りも聞いているんです。これは聞いててなかなか不愉快です。
私はまだ学生だった頃に実習生として患者を受け持った際、仲良くなりたい気持ちで”良かれと思って”、患者を下の名前で「○○さん」と呼んだことがありましたが、指導者に名字で呼ぶよう注意されたことがあります。これにはハッとさせられました。
先輩方は、実際に患者を下の名前で呼ぶ判断をするとき、相手の人柄や、患者との距離感、そう呼ぶことのメリットとデメリットを十分把握した上で判断していました。それには豊富な経験が必要でした。それ以来、私は基本的に名字で呼ぶことと、目上には敬語で話すようにしています。そうすることがまず間違いないからです。今でもタメ口を使う判断をするときはすごく慎重になってしまいます。
⑥入院費用が予想以上にかかる
色々と良い経験をさせてもらったなぁ〜と思いながら、入院生活を締めようとした時、請求書が来ました。見ると予想以上に高額な請求で、思わず明細書をもらってしまいました。
初めて明細書をちゃんと見たのですが、これがとても勉強になりました!
これを見ると何かにつけて「加算」をとっているのがわかります。
5日間の入院でしたが、10万近くかかりました。。
みなさん健康管理にはほんと気をつけましょう。
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たかだか5日間の入院で感じたことでしたが、仕事で接する患者さんはもっと入院期間が長く、重い症状で、高齢で、、ってことを考えると、なかなか思ってたよりも大変なのかもしれません。
いずれ来る入院の日に備えて、皆さんも私の入院体験を覚えておいて損はないでしょう。
では、また!