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ディラン好きの日記

転がる石のように

医療用語だらけの桃太郎

 

桃太郎

桃太郎

 

 

 昔々、あるところに後期高齢者2名が搬送されました。

 
おじいさんはリハビリに…行きたくなくて、「今日は体調が悪い。風邪ひいたかも」と駄々をこねていました。ミュンヒハウゼン症候群です。
 
 
おばあさんは食事・整容を済ませ、川を見に行きました。
この病棟では
「あ〜さ〜く〜ら〜!!!」
「せーんぱーい!(>_<)」
と、ふたりの看護師がしょっちゅう廊下を追いかけっこしているので、入院患者はみんなウンザリしていたのです。
 
 
おばあさんが川を見ていると、川上から大きな桃がボコボコ、ブクブクと湿性ラ音を響かせながら流れて来ました。
 
おばあさんがそれを拾って病室に持ち帰ると、
「食べ物の持ち込みは禁止です!」と師長にひどく怒られましたが、気付けば大きな桃の珍しさに人だかりができていました。
 
そこへ第一外科の東教授が総回診にやってきました。
 
「なに事だ。」
「いえ、これは…」
スタッフも患者も皆、下を向いてうつむいています。
 
「ほほう、これは珍しい。良い研究材料になるぞ。これを開けるヤツはいるか?」
東教授は後ろを振り返り、引き連れた若いDr達を見回しました。が、皆前例のないオペにキョロキョロするばかりです。
研修医の斉藤 英二郎はビビって図書館へ逃げてしまいました。
「まったく…」
 
東教授が溜め息を吐いたその時、
前方から白衣をなびかせながら颯爽と歩く女性が近づいてきました。
「私がやってあげてもいいわよ。」
 
群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い
専門医のライセンスと、叩き上げのスキルだけが彼女の武器
外科医、大門未知子だ。またの名をドクターXと呼ぶ。
 
「肩書きも無い君に、このオペが務まるのかね?」
東教授はうすら笑いを浮かべました。
 
「大丈夫。わたし、失敗しないから」
こうして、外科医 大門未知子による桃の緊急切開術が始まりました。
隣のオペ室では、同時進行的に助教授 桐生恭一によるバチスタ手術が行われています。
それはなぜかオンデマンドで世界に生中継されました。
研修医の斉藤 英二郎は、まだ図書館でメソメソしています。
 
 
3時間はかかるだろうと思われていた手術を、ドクターXはおよそ5分で終えてしまいました。
手術は成功。中からは、なんと元気な新生児が出てきました。
 
この新生児の親権にあたっては、裁判沙汰になりましたが、厚生労働省の役員 白鳥の手によって解決します。
結果的には子供のいなかったおじいさんとおばあさんが育てることになりました。
 
おじいさんとおばあさんはこの子に名前をつける際、
ヒポクラテスペンフィールドシュヴァイツァーのどれにしようか迷った挙げ句、「財前」と名づけました。
 
財前は思春期にオスグット・シュラッター病で膝を痛めながらも、すくすくと育ちました。
たぶん、バスケのし過ぎだったのだと思います。
 
高校3年生になった財前は「俺医者になるよ」と言ったので、おじいさんとおばあさんは泣いて喜び、高い金を払って予備校に通わせ、家庭教師までつけました。
 
財前は予備校に行くふりをしてクラブ通いをし、結局、3浪した末に裏口入学で医学部に合格するのですが、それでもおじいさんとおばあさんは我が子を誇りに思っていました。
その後大学で2留、国家試験に1度落ちた末に、30歳で財前は晴れて医者になります。財前はこの頃、昔痛めた膝が悪化し、膝に爆弾を抱えていました。
きっと在学中にテニサーでテニスをしすぎたのでしょう。
 
医者になった財前は、それまでとは違い、使命感に燃えていました。
「こんな俺をここまで育てた、おじいおばあにマジ感謝。」
財前は恩返しがしたかったのです。
こうして財前は医学界に蔓延り、最悪の病巣と化していた、白い巨島を目指し、そこの頂点に登り詰めることにしました。
 
 
試供品でもらったメイバランスを携え、財前は意気揚々と旅に出ます。
家の外ではスーツ姿のMRが出待ちをしていましたが、財前は目もくれませんでした。
 
おじいさんだけは、最後までこの過酷な旅に反対していました。
「回りくどい遠慮はいらん、辞退したまえ」
おじいさんの最後の言葉を、財前は泪を飲んで振り切ったのです。
 
 
道中、おなかを空かしている3人の研修医が、「そのメイバランス、一つ私にくださいな」と言ってきたので、財前はこれをあげることにしました。
すると息を吹き返した3人は、
「先生、私達も連れて行って下さい」と言ってきました。
財前の力で成り上がろうという魂胆は見え見えでしたが、財前も仲間がいた方が心強いので、これを快諾しました。
 
財前は3人のあだ名を、主従関係を明らかにするために敢えて動物のサル、犬、キジにしました。
しかし出発の時になって事件が起きます。サルが船に乗り遅れてしまったのです。
後から必死で追いかけたサルですが、ついに漂流してしまいます。
 
 
「僕に不安はないよ、ただ……ただ、無念だ」
どんどん遠ざかる財前達に向けて投げかけたサルの最後の言葉に、全米が泣きました。
 
のちに銀の竜の背に乗って孤島に流れ着いたサルは、山ピーと戸田恵梨香が乗るドクターヘリにSOSを出すもののスルーされ、仕方なくそこで診療所を開きます。
その診療所ははじめこそ島民に受け入れられないものの、サルの献身的な処置により、最後には島に無くてはならない診療所となります。ここでは彼をサルと呼ぶものは居ません。皆、後藤先生と本名で呼んでくれます。たまに勘違いしてコトー先生と呼んでくる子供もいますが、みんな幸せそうでした。
研修医の斉藤 英二郎は、まだ図書館でメソメソしています。
 
一方、無事に白い巨島にたどり着いた財前一行は、
ここで大学医局という組織の洗礼を受けながら、講師、助教授、教授へとのしあがります。
途中、内科教授の里美とすったもんだ色々ありますが、最終的には白い巨島の頂点にのぼり詰め、第一外科のトップとして総回診をするまでになるのです。
 
 
 
めでたしめでたし
 
【好きなシリーズへのリスペクトを込めて】