ディラン好きの日記

転がる石のように

社長がハローワークに通い始めた

 

今朝の朝礼での社長の言葉が感動的だったので共有しておこうと思う。

 

おはようございます。

昨日、米国でとんでもないことが起こりました。トランプさんが、大統領選でヒラリーさんを下したのです。誰も予想していなかったでしょうね。私はうすうす感づいていましたが。

世界情勢は大きく動くでしょう。日本もやばいかもしれません。漠然とした不安が、日本中に漂っています。でも、そんな空気に飲まれるのはやめましょう。そんなものに実態はないのです。

それよりも、自分の足元をみましょう。自分自身のことから、できることに励みましょう。例えば私にタメ口を使わない等、出来ることは近くにあるはずです。社会人として、やるべきことをやりましょう。それが結果的に自分の周りの状況を良くします。

「明日はわが身」という言葉があります。

我々の生活を保障するもの、それは今日なにを食べて、明日はなにを食べられるかです。衣食住を確保するのはなにか?それは仕事です。仕事の業績は生活に直結します。先月の業績ですが、最悪でした。最悪だと思ってた先々月よりも悪かったです。「日本やばい」の前に、「俺たちやべえ」なんです。

「一寸先は闇」という言葉があります。

これは私たちの業界にも当てはまります。私は危機感を感じています。「日本やばい」の前に、「俺たちやべえ」、ひいては「俺、やべえ」です。皆さんも危機感を持ってください。

業績悪化の原因についてですが、9、10月はスタッフの退職に伴う入れ替わりが多かったため、やむを得ないと考えてます。10月に新たに2名入ってくれましたが、現在さらなるスタッフの補充を行うために、採用活動を推し進めていますので、しばし皆さんには踏ん張って頂きたいと思います。とにかく皆さん、今月も頑張りましょう!

え〜、私の今日の予定は、午前中会議をした後、午後はハローワークに行ってきます。

以上!

 

私は知っている。社長がなぜハローワークに通うのかを。

一ヶ月ほど前、社長は我が事業所の大胆な構造改革を行った。

我が社長にしては珍しく、急な辞令であった。それは我がリハビリテーション部の中で最もキャリアが長く、信頼も厚い女性リーダーの他事業所への移動だった。当事業所粒ぞろいのBBA達の中で、ひと際おしとやかで、癒しをくれる、戦場に咲いた一輪の花だった。この人事に事業所内では反発が生じ、男性職員が次々と辞めていく事態になったのである。

社長はこの事態にも頑として強気の姿勢を貫いていた。口を開けば「急な辞令の発令は当たり前」と言い、社員の話に取り合おうとしない。社長は若い頃、大手に勤めていたらしく、突然の辞令発令は社長にとって常識の範疇だろう。しかしそれを当事業所のような小さな組織の中でやろうとすると、失敗するのだ。

今までの社長は、そのようなタイプではなかった。どちらかというと入念に面談を重ね、社員の意見にも耳を傾けてくれる人だった。一体どうしてしまったのか。思い当たる節は2つある。

一つ目は、親会社のお弁当事業の業績不振だ。親会社社長の抜群のリーダーシップにより推し進められたお弁当事業だが、同業他社のライバルが強すぎて太刀打ちできていない。「残った弁当は社員で消費!」という裏スローガンの元、若手がブクブク太っているらしい。

そんな事情があり、親会社からの圧力があるのだろう。この前防災対策のための転倒防止ストッパーを2つ頼んだら、「2つ⁉︎、3つ以上なら送料無料なんだが。おい君、送料込みの3つと送料ありの2つ、どっちが安いの?」と数百円の差を気にしていたので、経費は詰め詰めだろうと思う。その前に、”忘年会を自費にしたら、25人いた参加者が5人に減り、慌てて経費から調達することにした” という事件があったので、そこらへんの事情もあるのだろう。

 

二つ目に、社長の威厳が失墜している現状がある。

社長の名刺処理の不手際により、キャバクラ通いが管理者にバレて以降、完全に弱みを握られてしまっている。女性職場なので風当たりは強い。この頃から女性スタッフが社長にタメ口を使い始めた。皆「そこはNTT東日本でしょ⁉︎社長!!」のテンションで社長に話しかけている。

このような状況に、少々気が狂ってしまったのかもしれない。無理もない。

しかし、状況を打開するために打った手が、返って状況を悪化させてしまっている。

 

各部門からの人材の流出により、業績は危機的状況だ。しかしもっと危機的なのは、社内空気。今日も社長は、澄んだ社外空気を吸いにハローワークへ通う。

私は知っている。それは求人募集のためではない。

社長自身の、命のハローワークなのだ。

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