【3/23イベント】紗倉まなさんの誕生日をお祝いしてきた
16時。
アメリカ留学から帰ってきた親友と新宿の老舗喫茶店「らんぶる」で『紗倉まな 生誕祭』までの時間をつぶす。
兼ねてからスカイプで連絡を取り合い、温めてきた彼とのラジオ配信だが、最終的な方向性で折り合いがつかず白紙へ戻った。私は伊集院光の、深夜の馬鹿力的なものをイメージしていたが、彼は大沢悠里のゆうゆうワイドっぽいものをイメージしていたらしい。ビジョンって難しい。
最悪のテンションで新宿ロフトプラスワンへ向かう。
歌舞伎町のど真ん中にそれはあった。
漂うアンダーグラウンド感。
私が知っているLOFTとはどうやら関係がないようだった。会場は思っていたよりも小さく、なんとなく昭和の匂いを感じる。
開始30分前に入ったが、すでに席は参加者で埋め尽くされていた。
壁には今まで出演した数々の著名人のポラロイドが飾られていて、この会場の歴史の深さを感じさせる。
親友とふたりで端っこの方の席に座った。私の目の前には一人で来ている若い女の人がいた。会場を見渡してみると、大半は30〜40代の男性が多い中、ぽつぽつと若い女性が紛れているのが印象的だった。
開演までの間、ワンドリンクオーダー制のためお酒を頼む。法外な値段かと思いきや、普通の居酒屋と変わらない値段で良心的だった。
しばらくしてアンケート用紙が回ってきた。
どうやらこの中から紗倉まなさんが気になったものを選び、相談に答えてくれるらしい。私は30分くらい吟味して、アンケートを記入した。
一人で参加している目の前の女の子に声をかけてみると、彼女は紗倉まなさんの追っかけをしているらしく、今回でイベントに参加するのは4回目だという。追っかけている理由は、「単純に、かわいいから」らしい。
AV女優のイベントに若い女子が応援に来ているのを、私は意外に思った。
そもそも私が紗倉まなさんの生誕祭に参加しようと思ったのも、友人の誘いに加え、既存のAV女優と違うものを感じ、その特異性はどこから来るのかを探ってみたいと思ったからだ。
今や「紗倉まな」という女優を知らない男子はいないだろう。
トップ女優として本業をこなす傍ら、ドラマや映画への出演も多い。
キュートなルックスに加え、高専出身という経歴を活かし、トヨタのウェブサイトでコラムを執筆、工場見学番組への出演など、工学系リケジョとしてのキャリアを活かした仕事も行っている。
さらに多数のコラムを執筆するだけでなく、エッセイを出版し大ヒットを記録、2作目となる単行本で小説デビューを果たし、作家としても今大注目を浴びている。
アイドル、女優、文筆家、工学系女子。
いまだかつて、こんな多様な顔を持つAV女優がいただろうか。
追っかけをしている彼女も、紗倉まなさんをアイドルとして応援しているようだった。
近年、AV女優という職業がオープンになってきているように感じる。
『AV女優の社会学(青土社)』を筆頭に、「AV女優」が学問的なスポットライトを浴びる傾向がある。宮台真司氏など以前から、女性の性・風俗的な行動を考察する社会学者はいたが、私の感覚では最近になって書店の一般書コーナーに「風俗嬢」とか「AV女優」の文字が目立つように感じる。昔なら書店の隅に隠れるように置いてあったもの、クローズドだった業界の話が、いまは社会学や経済学と結びつけられて、オープンに語られるようになった。
それに加え、影響力を持つ多くの女性ライターがウェブ上で、性についてあけすけに語る事で、フェミニズム的な権利の一つとして、性が表現されるようになった。女性用AVの出現も、このムーブメントの一環ではないだろうか。紗倉まなさんのような新しいタイプのAV女優の出現は、このような時代の変化も寄与しているのかもしれない。
そうこうしているうちに生誕祭は始まった。
すでに八海山を3杯引っかけてきたという紗倉まなさんは、司会者のテンションの低さと対照的に、ハイテンションでハツラツとした女性だった。私がイメージしていたよりもブリブリした感じはなく、aikoのような元気ガールだった。
しばらくして、最初のゲストが呼ばれた。
現れたのは、闇金ウシジマくん2で共演したという俳優のやべきょうすけさん。
関西人ならではの軽快なトークで場を盛り上げる。映画の撮影ウラ話では、ウシジマくんの豪華俳優陣は皆、紗倉まなさんの事を気にしていたという事実が分かり、本人も「光栄すぎます」と喜んでいた。この時、私の中で山田孝之さんが急に近い存在に感じられた。イケメン俳優でも男は男なのだ。
二人ともお酒が進み、話はいつの間にか紗倉まなさんによる、やべきょうすけさんへの人生相談となっていた。
やべきょうすけさんが何やら良い事を言っていたが、
私は背景の意味深な絵が気になってしまい、全然話が入ってこなかった。
しばしの小休止を挟み、次にゲストで呼ばれたのは阿佐ヶ谷姉妹。
予想以上の会場の盛り上がりに、阿佐ヶ谷姉妹は驚いていた。
阿佐ヶ谷姉妹は絶妙のコンビネーションでベロベロに酔っ払った紗倉まなさんを叱咤し、進行を円滑に進めていた。この間にバースデーソングを会場の皆で歌い、各方面からのプレゼントが紗倉まなさんに送られた。
紗倉まなさんへの相談コーナーでは、私のアンケートが読まれることはなかった。
親友の「あんなに考えたのにな...」という発言に私は少々イラついた。私はまだラジオの件を引きずっていたのだ。何が大沢悠里のゆうゆうワイドだ。
しかしそんな苛立ちは、帰り際に、参加者全員にしてくれた紗倉まなさんとのハグが忘れさせてくれた。
「やさしそう」という言葉をかけていただき感無量。私はその言葉を励みに、これからも勇気を持ってビデオBOXへ行こうと思う。
今回生誕祭に参加してみて、AV女優として女性からも支持を得る彼女の、人気の理由がわかったような気がする。
それはまさに飾らない人柄と、アイドルのような全力のサービス精神から来ているのではないか。ニッチな経歴を生かして貪欲にチャレンジする彼女の活躍の場はますます増えるばかりだろう。
23歳になった紗倉まなさんの活躍から、これからも目が離せない。